FM丹波 ギターの散歩道2024年5月放送分

5月プログラム  5月1日(水)~31日(金)

トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二

今月は「五月晴れ」をテーマにお送りしています。桜の花が散り、葉桜に変わっていき、地元、大文字山や烏が岳、遠く大江山の山々の木々の新芽が成長し、見事な新緑グラデーションで目を楽しませてくれています。新緑の季節、とりわけ日本では端午の節句があり、子供の季節です。この世に生まれ出て、あやしては笑ったと喜び、はいはいが出来るようになればつかまり立ち、早く歩かないかなぁと育っていく様子は、木々の葉っぱが白っぽさから黄緑に、そして緑に変わっていくのと同じ。そんな、子供が育っていく姿を見ると元気が出るように、山々の新緑は活気を呼び込んでくれています。

・ (月)「花」  (二重奏)

本日ご紹介する曲目は日本を代表する作曲家滝廉太郎作曲の、「花」をお送りします。作詞は武島羽衣。作曲、滝廉太郎、1879年明治12年東京に生まれ、23年間の短い生涯でした「花」をはじめ「荒城の月、箱根八里」等多くの名曲を残し、後の日本音楽界の発展に大きな影響を与えています。現在中学3年生の音楽の教科書に合唱曲として掲載されています。今日は、リスナー三浦さんからお便りを頂いていますのでご紹介しましょう。
私は仕事の関係で韓国の水原(スウォン)市と東京の2拠点生活をしており、韓国にいる時は朝のウォーキングをした後部屋でシャワーを浴びると丁度「ギターの散歩道」の時間です。それを楽しみにほぼ毎回拝聴しております。東京の時と殆ど変わらないクオリティで聞く事ができ、発達する文明の利器に感謝感謝です。ただ、何故か高村さんの演奏に入る前くらいになると電波が1度だけ中断することが多々あります。聴取者の気を引き締めるために高村さんがそうしているのでしょうか(笑)私の住む水原(スゥオン)市はソウル市に隣接し、世界的な最先端技術を持つ企業と世界遺産である古いお城を持つ人口123万人の大きな且つユニークな街です。少し前までとても寒く、最高気温が-8℃であったり朝7時でも真っ暗な世界だったのですが、ここに来てパッと明るくなったと思ったらもう桜も殆ど散ってしまいました。パリパリというのは韓国語で早く早くという意味で、韓国はパリパリ文化とよく言われますが季節の移り変わりも言葉通りパリパリなんですよ。現在(4月13日)のこちらは日本と同じように少しだけ残っている桜やユキヤナギ、ボケ、レンギョウなどが新緑と相まってとてもきれいです。若いカップルだけでなく、古いカップルもそれを見ながら散歩を楽しんだりテラスでコーヒーを飲んだりしてくつろいでいます。残念ながら私は一人で楽しんでいますが…と、韓国からお便りをいただきました。いつもご視聴ありがとうございます。

・(火)「シンプリシタス」 (高村浩二)

バーデンジャズ組曲、作曲者はイルジ・イルマル。チェコのプラハ生まれのクラシックのギタリスト。2019年95歳で亡くなられる迄、演奏や作曲、教育活動にと東欧圏では有名なギタリストでした。中でもジャズ音楽にも深く関わり、作品の中にはボサノバやサンバといった要素も多く取り要られ、1962年公開のアニメ、「トムとジェリー西部のあばれもの」ではペンネーム、ジョージ・イルマルの名前で曲が使われています。バーデンジャズ組曲は、作曲者イルマルが80年代後半から特に意識しだしたラテンジャズへのあこがれでもあり、ブラジルの天才ギタリスト、バーデン・パウエルに捧げられた抒情的な1曲。3楽章で構成され、第1楽章シンプリシタス、第2楽章子守歌、第3楽章ロンド・ア・ラ・サンバとあり、クラシックギター作品ならではの芸術的な魅力にあふれ、特に第1楽章シンプリシタスはボサノバの要素を含み演奏会等でも人気があります。今日の演奏は高村浩二先生です。第1楽章シンプリシタス、アンダンテカンタービレ。素朴なものを意味するシンプリシタス、冒頭の2小節はギターの開放弦の魅力、楽器そのままの響きを最大限に活用し、もの哀しい抒情的な美しい旋律で始まり、高音で奏でられメロディに対して低音が素朴に答え、正に男女が会話しているように思います。そしてボサノバ風のリズムに一転し、ピアソラのトレードマークの3,3,2のリズムで、より情熱的で自在なリズム変化に魅かれていき、そして再び懐かしい哀愁のメロディに戻り静かに終わります。

・(水) 「花は咲く」 (高村浩二)

ギターの散歩道、本日ご紹介する曲目は「花は咲く」です。2011年東北大震災の復興を応援するテーマソングとして、共に宮城県出身である岩井俊二さん作詞、菅野よう子さん作曲で国内はもとより海外でも色々なジャンルの歌い手さんにより歌い継がれてきました。
「花は咲く」今日の演奏は高村浩二先生です。世界最古の楽曲である紀元前2世紀頃に作られた「セイキロスの墓碑銘」には「生きている間は輝いて下さい。思い悩んだりは決してしないでください。人生はほんの束の間ですから、そして時はいつか終わりを求めてくるものですから」と言う心を揺さぶられる歌詞があります。時の流れの無情さは古今東西、時空を超えても変わりません。音楽は人の世になくてはならぬものであり、慰めであり、又奮い立たせてくれたり、そして、昔の夢にも誘ってくれます。日々、悩みのつきないこの世にあっては一時の安らぎです。「花は咲く」言葉に出して歌わない分、楽器に託して1音1音大切に、切れ間なく伸びていく余韻の美しさを感じて下さい。「花は咲く」さあ、どうぞお楽しみ下さい。

・(木)「song from a secret garden」 (二重奏)

この曲は1995年から活動するノルエー出身の作曲家、ピアニストでもあるロルフ・ラヴェランドとアイルランド出身のバイオリニストのフィンヌーラ・シェリー、
2人によるニューエイジ.ミュージック、新古典派音楽を演奏する2人組。日本ではニューエイジミュージックとは癒し系音楽として分類され、聞く者の心に迫り、多くのファンを魅了しています。その秘密は哀愁を帯びたバイオリンを基調としたポップとフォークとクラシックが入り混じった演奏で繊細でロマンチックな物語を探し求める映画音楽のように、聴く者の心に響きます。私もこの曲が発表されてからもう25 年以上経過しているのについ最近クロアチア出身のチェロ奏者のハウザーさんの配信の演奏を聞いて知ったような事です。「song from a secret garden」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかりと高村浩二でお送りします。編曲は私足立ゆかりです。ピアノ譜をもとに出来るだけ旋律も伴奏もシンプルに響き合うように工夫しました。冒頭のフレーズは、憧れや希望を表す音程、ロマン6度の中に揺れ動く満たされない切ない思いの音も入り、愛情たっぷり優しく表現していきます。
音楽は人の世になくてはならぬ物、慰めでもあり又奮い立たせてくれ昔の夢にも誘ってくれます。どんなに言葉が優れていても表現できないものがありますが、音楽は人がその時に感じた感覚を時に鮮明に、又生々しく、美しく表現できます。人と人とのつながりが希薄になりつつある、今の社会ですが音楽でサポートできればと思っています。「song from a secret garden」さあどうぞお楽しみ下さい。

・(金)「こいのぼり せいくらべ」 (足立ゆかり)

「こいのぼり」ですが、同じ題名でも2種類あります。
1曲目はいらかのなみの歌詞で始まるこいのぼり、1913年大正2年尋常小学唱歌五学年用に初めて掲載されその後唱歌として歌われています。歌詞には男の子がこいのぼりのように雄大な姿に成長して欲しいと言う願いが込められています。2曲目は屋根より高いこいのぼり、どちらかと言うとこのこいのぼりの方が馴染み深いですね。昭和6年に刊行された「絵本唱歌春の巻」で初めて紹介された童謡、歌詞は1番しかありませんが大きな真鯉はお父さん、小さい緋鯉は子供達と、空を楽しそうに泳いでいる風景を表現しています。この季節、以前は里の田んぼのあぜ道や町の中でもこいのぼりが泳いでいる光景を見ていましたが近年では住宅事情でしょうか少なくなりましたね。
3曲目、せいくらべ、リスナーとむさんからのリクエストです。「せいくらべ」は62年前、学芸会でも音楽会でもない、昭和小学校の講堂で行われた普通の朝礼で全校生徒の前で一人で歌わされました。歌詞にある、ちまき食べた食べ兄さんが、 ちまきって見た事も食べた事もないのでなんのことやらわからず、柏餅を想像して歌っていたので歌詞は今でもよく覚えています。とメッセージを頂いています。今日、演奏します「せいくらべ」はお馴染みの歌えるせいくらべではありません。出だしからどことなくあれ?何の曲?と思われると思います。アレンジは橋本道範先生です。モンポー作曲の「カンシオン・イ・ダンサ」歌と踊りに似ている部分とせいくらべをミックスしてみました。ほんのアイデアのようなものでとにかくうけるアレンジをと言う見栄があるそうです。今日の演奏は、私、足立ゆかりです。新緑の季節、子供は宝、健康に過ごせるようにと言う願いを込めて演奏します。「こいのぼり、せいくらべ」さあ、どうぞお楽しみ下さい。

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