FM丹波 ギターの散歩道2024年11月放送分
11月プログラム 11月1日(金)~ 29日(金)
トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二
今月は「秋を奏でる」をテーマにお送りしています。深まる秋、芸術の秋、つるべ落としの日没の中、色づきかけた山々と夕陽が一瞬オレンジ色に美しく輝く光景に思わず足が止まり、引き込まれて行きます。枕草子には春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて、とあるように季節ごとに変化する景色を楽しみ、感じる事が出来ます。。とりわけ秋は夕暮れと、言われているようにつるべ落としの日没の中、夕日が美しく見え、その光の光景に見とれてしまいます。日本の四季の中で一番色鮮やかな風景ではないでしょうか。
・ (月)「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」 二重奏
「fly me to the moon」ジャズのスタンダード・ナンバー楽曲。日本語では「私を月に連れて行って」と言うタイトルになっています。1954年に、作詞家・作曲家のバート・ハワードによって制作されたもので、初演はニューヨークで、ヴォーカルのフェリシア・サンダーズにより歌われています。ただし、この時の曲のタイトルは "In Other Words"(対訳「言い換えると」であり、拍子も4分の3拍子で現在広く知られているアレンジとはかなり違っていました。現在、よく耳にする「Fly Me to the Moon」が完成するのは、1962年、作曲家・編曲家 のジョー・ハーネルが4⁄4拍子のボサノヴァ風に書き直したものが、よく知られているアレンジの一つとなっています。その後、1964年にフランク・シナトラがカバーして爆発的なヒットになりました。シナトラが歌った1960年代、アメリカはアポロ計画の真っ只中にあり、本当に月に連れて行って貰える?と非常に近くまで迫っている未来の出来事でした。そのために「fly me to the moon」は一種のテーマソングのように扱われ、これがヒットにつながりました。シナトラ・バージョンの録音テープはアポロ10号・11号にも積み込まれて、人類が月に持ち込んだ最初の曲になっています。
「Fly Me to the Moon」今日はリスナーYさんからのリクエスト、メッセージを頂いていますのでご紹介しましょう。
ギターの散歩道、いつも楽しく聞かせてもらっています。昨夜、マレーシアより無事帰国しました。今、新幹線の車中、頭を雲の上に出した富士山を見て日本に帰ってきたなぁと感じています。マレーシアは日本と時差が1時間、fm丹波の放送「ギターの散歩道」も普通に聞くことが出来、ここはどこ?っと思った次第です。久しぶりの一人旅、ぼーっと景色を眺めたり、プールで泳いだりとリフレッシュできました。中でも飛行機から見た満月は今にも手が届きそうで、ついつい「Fly Me to the Moon」を口ずさんでいました。と、メッセージを頂いています。
「Fly Me to the Moon」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。演奏のポイントは、伴奏はのりのよいボサノバ調でスマートにメロディはかわいく弾いていって下さい。同じフレーズが何度も出てきますのでアドリブで弾いてみるのもおもしろいでしょう。
澄み渡った夜空を見上げ、私を月に連れていってくれる人は誰かしら?と、そんな素敵な人と巡り会えたら、なんてしばし物思いにふけるのもいいのではないでしょうか。いつの時代になっても「お月さん」は魅力的なのでしょう。
「Fly Me to the Moon」さあ、どうぞお楽しみください。
・(火)「ミッドナイト・メモリーズ」 (二重奏)
「ミッドナイト・メモリーズ」、作曲者のジャンマリー・レイモンさんは1949年フランス生まれのギタリストでもあり作曲家です。ソロ活動の他作曲にも取り組まれ数多くの作品を出版されています。2013年に亡くなられた兵庫県明石市のギタリスト稲垣稔さんとも親交がありデュオを組まれ又CDも出しておられます。この「ミッドナイト・メモリーズ」は日本を代表するギタリスト福田進一さんと荘村清志さんのための委嘱(イショク)作品として作曲されています。
「ミッドナイト・メモリーズ」今日の演奏は魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二、2022年10月中丹文化会館で開催しましたギターの散歩道、ギターあれこれのライブ版でお送りします。大人の雰囲気を持ったムーディでしかも美しさがある曲、秋の夜長、都会の夜景を見ながらワイン片手に恋人同士で会話をしているようなおしゃれな感じの曲です。
・(水) 「ノクターン」 (足立ゆかり)
「ノクターン」の作曲家、カール・ヘンッエは1872年生まれ。ドイツ、ベルリン出身のギター、マンドリン奏者でもあり、私たちギターを弾く者にとっては先月放送しました「マヅルカ」や「緑の木陰にて」の楽曲もあり、お馴染みの作曲家です。
「ノクターン」今日の演奏は私、足立ゆかりです。恩師、新堀寛己先生著書、新現代ギター教則本、中等科第7番目の練習曲として掲載されています。「ノクターン」私はギターを習いかけて3年目の発表会で初めて独奏で弾いた思い出の曲、とにかく間違わないようにとドキドキしながら必死に弾いていましたが、今になっても弾くたびにここで間違ったなぁ、なんて思い出してしまいます。「ノクターン」の目標として、伴奏と旋律の引き分け、スタカートの練習、ロマンチックな曲の弾き方、アゴーギクの練習とあります。中でも表現方法の「アゴーギク」「ロマン」とは何か?を勉強するにはよい課題曲です。フェルナンド・ソル、マウロ・ジュリアーニ、マテオ・カルカッシ等の古典の曲を勉強し、次はロマンチックな表現に触れ、大きな音楽の歴史の流れを知る事が大切です。ロマンとは個性に強く結びつきメロディの流れに重きをおき、決して数学的な音符の長さにはならないように気を付けながら心ゆくまで表現していきます。その表現の仕方にビブラート等の奏法やアッチェレランド、だんだん速くする、を使うとより一層効果的で、魅力ある曲に仕上がってきます。
音楽には歴史があり学び方の順番をまちがえると上達が難しくなりますが、正しく学ぶとどんなジャンルの音楽も自力で魅力ある演奏が可能になってきます。もう一度、基礎に戻り練習していくのも新な発見がありそうです。
・(木)「オブリビオン」 (二重奏)
「オブリビオン」英語の直訳では忘却、無意識状態と訳されています。作曲はアストロ・ピアソラ、タンゴの神様と言われアルゼンチンを代表する作曲家です。パリにあこがれ一時フランスで活動をしていた時期もありました。
ピアソラは、映画や舞台のための音楽も多く残しており、この「オブリビオン」は1984年に公開されたイタリア映画『エンリコ4世』のために書き下ろされた5曲のうちの1曲です。残念ながら映画はヒットせず、音楽も映画公開当初は話題になりませんでしたがある時、映画音楽用のインストゥルメンタルであったこの曲に、フランス語の歌詞を付けて歌う歌手が現れ、それも同時期に2人の歌手が、それぞれ独自の歌詞をつけて歌いました。
映画音楽としては不発に終わってしまったこの曲ですがフランス語の歌詞が付き、歌曲として再び世に出た「オブリビオン」〈忘却〉は大ヒット。ピアソラの傑作の一つとして様々な編成にアレンジされ、今も長く愛される名曲となっています。
・(金)「荒城の月」 (高村浩二)
「荒城の月」作詞は土井晩翠。作曲は滝廉太郎、1879年明治12年、東京に生まれ、23年の短い生涯でしたが、花、箱根八里等の多くの名曲を残し、又後の日本の音楽界の発展に大きな影響を与えています。この荒城の月は、滝廉太郎が富山で過ごした小学校時代、当時すでに本丸の高楼を残して外堀の埋め立てが始まった富山城の小学校に通い、剣の立山連峰を渡る月夜の雁を仰ぎ、又大分県竹田市の岡城では石垣のみとなった岡城を見て一人たたずんで思索したと言われています。作詞の土井晩翠とは、面識がないものそれぞれ時を超えて戦国と幕末、明治後期と同じ共通体験を得た事は奇跡的で、この荒城の月の共通の舞台のモデルは富山城であり、滝廉太郎の経験と土井晩翠の詩情とが一致し素晴らしい名曲が生まれました。
「荒城の月」今日の演奏は高村浩二先生です。編曲は高知を拠点にご活躍中の作曲家、ギタリストのリ・サフォンさん、松井孝之さんのペンネームです。ギターの特性を熟知し、又機能性を思う存分発揮されている楽曲は本来の曲の魅力を残しつつ神秘的、ミステリアスにも聞こえ大変魅力的に仕上がっています。
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