FM丹波 ギターの散歩道2024年4月放送分
4月プログラム 4月1日(月)~30日(火)
トークと演奏:足立ゆかり・高村浩二
今月は「春を奏でる」をテーマにお送りしています。日本には美しい四季がありますが中でも厳しいかった冬から春への暖かい空気感が1番、心ウキウキとしてきます。地元由良川の河原には菜の花が満開になり、ひばりがにぎやかに春を奏でてくれています。
・ (月)「さくらの主題による変奏曲」 (高村浩二)
本日お送りします「さくらの主題による変奏曲は」横尾幸弘さん作曲。横尾幸弘さんは、大分県出身。1925年大正14年生まれ、2009年平成21年84歳で他界されるまで、戦後、日本のクラシックギター界でははじめてのリサイタルを開かれ又作曲や編曲活動と日本のギター界に多いに貢献されています。中でも「さくらの主題による変奏曲」はその芸術的な完成度の高さから世界的に有名で、パリで開催されたパリ国際ギターコンクール作曲部門で入賞、その後ジョン・ウィリアムス、イヨランセルシェル他、多くのギタリストによって世界中で演奏されています。6つの変奏、そしてコーダと、まさに桜のつぼみがふくらみ、やがて満開になり、散っていく、春の情景を音で表しています。
・(火)「瑠璃色の地球」 (二重奏)
「瑠璃色の地球」、1986年に歌手の松田聖子さんのヒット曲、作詞松本隆さん、作曲平井夏美さん。歌手の松田聖子さん、1980年のデビューから40年以上経った今でも日本を代表する歌手としてご活躍中。この楽曲はコマーシャルにも使用され又1995年と1999年には高校の音楽の教科書にも掲載され広く合唱曲として歌われています。
「夜明けの来ない夜は無いさ」での歌い出しで始まり「くじけそうな時もあなたがそこにいたから生きて来られた」と希望に満ちあふれた歌詞が生きる勇気を与えてくれます。楽曲のクライマックスは「ひとつしかない私たちの星を守りたい」と綴られています。戦争や深刻化する環境問題の影響により地上で起こる様々な自然災害。今の時代に必要な事がこの歌の歌詞に込められています。そしていつの時代になっても感動・感謝・幸福感・平和ほど大切なものはありません。この私達が住んでいる地球が永遠に平和で、「地球は一家」を願っています。
・(水) 「夜明け」 (足立ゆかり)
ホセルイス・ゴンサレス作曲「夜明け」、ホセルイス・ゴンサレス先生は私のスペインの先生です。1932年7月2日、スペインバレンシア地方、アリカンテ県アルコイ生まれ、大の親日家でもあり1968年の初来日以来、地元福知山にも2回演奏に来て頂きました。残念なことに7度目の来日の直前、1998年3月22日、弾き盛りの65歳、マドリードで生徒さんのレッスン中に心筋梗塞で倒れられてそのまま帰らぬ人と。3度目の福知山公演は幻になってしまいました。
「ホセルイスの音はすばらしい。美しい音を出したかったら彼に教えてもらいなさい」と巨匠アンドレス・セゴビアから破格の賛辞を得たと言われるよう、生で聞く先生の音色は単に美しいのではなくて繊細なピアニッシモから大胆なフォルティシモ迄どこを取ってもきれいな音でした。特に演奏会の時、客席の隙間から聞こえてくるピアニッシモは息をのむほどに美しかったのがずっと残っています。
夜明けは先生が書いておられる「ホセルイス・ゴンサレスギターテクニックノート」の最後の練習曲です。亡くなられる前の年1997年にエステージャのサマーセミナーを受講した時にスペインの友達がこの曲を弾いていました。初めて聞いた曲で興味深く聞いていると、先生が「来年日本に行くからそれまでにこの曲を練習しておくように」と言われ、ドキっとしました。なんと左手のセーハが連続で出てきてこれをどうやって練習するのですか?と先生に尋ねると、先生は「シンパイスルナ、キレイナオトデ」といつもの日本語でにこっと。レッスンは厳しかったですがギターを離れるといつも父親のように暖かく見守って下さりと思い出は尽きません。
「夜明け」今日の演奏が先生にも届きますように。さあどうぞお楽しみ下さい。
・(木)「春の日の花と輝く」 (二重奏)
今日は、私の生徒さん、鳥取県米子市在住有坂さんより先月に引き続き「大山の春」の様子のお便りをいただいています。
「大山の春」4月になると桜を含め花達が一斉に開花すると同時にウグイス、セキレイ、ヒヨドリ等の小鳥のさえずりがあちこちから聞こえてきます。いよいよバードウォッチングの季節到来です。しかし、怖い鳥も出てきます。とび、たか、ハヤブサ等の猛禽類(もうきんるい)です。
けれど、人に危害を加えるような事は無いそうです。そのほか、ウサギやリスやテン等の小動物や鹿にも運がよいと出会えます。困った事にまれに熊と遭遇する人もいるそうですがこれは滅多にありません。そして5月に入ると山の全ての木々が新緑を迎え、森や林の中へ入るだけで、さわやかさと爽快さの気分になる事、正に森林浴です。又、大山には幾つもの高原ファームがあり、ここで遊んだり、寝転んだり、時には地元の美味しいアイスクリームや牛乳を仲間や恋人と一緒に食べたり飲んだりするのも楽しいひと時です。でも、近くの牧場の牛が寄って来て、冷やかされるかも知れませんが。他に健脚に自信のある方は大山登山に挑戦するのも一考です。
山頂から眺める景色は最高の思い出になる事でしょう。どうぞ、「大山の春」機会がありましたら是非お越し下さい。もちろん、大山は春だけでなく、秋の紅葉や夏や冬の風景も一見の価値がありますよ。とお便りを頂きました。いつもありがとうございます。
「春の日の花と輝く」、作曲者は不明で、アイルランドの古いメロディにトーマス・ムーアが詩をつけたものです。讃美歌にも使われているほどの美しいメロディで、日本では「堀内敬三」訳詞で「春の日の花と輝く」として知られています。この素朴な美しいメロディはギターにも大いに関係があり、このメロディを元にベートーベンやシューベルトの時代に活躍した、ギターの作曲家でギター奏者でもある1781年、南イタリア生まれのマウロ・ジュリアーニが「6つのアイルランド民謡作品125」として発表しています。その6曲の中にはこの「春の日の花と輝く」の他、日本でもおなじみの「庭の千草」「故郷の空」「スコットランドの釣り鐘草」も取り上げられ親しまれています。
「春の日の花と輝く」今日の演奏は、魅惑のギターデュエット足立ゆかり&高村浩二でお送りします。この曲のタイトルの通り、「春」光輝き明るく美しいメロディをつつみ込むような壮大なアルペジオ伴奏で響かせていきます。途中、ギター奏法の一つであるハーモニックス奏法で演奏していきます。
・(金)DEJA-VUデジャブ「遠い記憶」 (二重奏)
DEJA-VU~遠い記憶、それは「実際は一度も体験したことがないのに、既にどこかで体験したことがあるように感じる現象、きっと誰にでもこのような経験はあるのではないでしょうか。作曲者リ・サファンさんの解説によりますとこの作品にはイントロは設けておらず、いきなり主題のメロディーから始まります。演奏者は、その世界観を演奏開始前より、心得ておかなければ、聴衆を自分達の世界へ引き込むことはできません。また、和声の目まぐるしい変化は、感情の微妙な変化や不安定さであり、両パートともに内面に秘めて演奏してください。と解説されています。世界最古の楽曲である紀元前2世紀頃に作られた「セイキロスの墓碑銘」には
「生きている間は輝いて下さい。思い悩んだりは決してしないでください。人生はほんの束の間ですから、そして時はいつか終わりを求めてくるものですから」と言う心を揺さぶられる歌詞があります。時の流れの無情さは古今東西、時空を超えても変わらず、遠い時代の異国の文化に思いを馳せるのもいいのではないでしょうか?
さあ、「DEJA-VU遠い記憶」どうぞお楽しみ下さい。
どうぞお楽しみ下さい。
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